映画備忘録[2012#04]『トーキョードリフター』

ホントはライヴ観に行った感想を先に書こうと思ったんだ。
けど、あの震災からまもなく一年を迎える中、
連日NHKスペシャルを見てたら、
コッチを先に書かなきゃって気になったんだ。

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2011年5月27日19:00 新宿。
雨の街頭に一人立ち『鴨川』を歌う前野健太
カメラのロングショットが捉える。
そこから約10時間。都内各地をバイクで移動して、
各地で歌う前野健太を撮す形であの夜の東京を記録していく。

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ドキュメンタリー作家・松江哲明と
ミュージシャン・前野健太との組み合わせというと
74分間吉祥寺の街をワンカットで歌い続ける
『ライブテープ』(2009年)が思い出される。
本作でも演出というか事前ロケハンで絵面を決めてという作為はあるのだが、
『ライブテープ』以上にそのままを記録しているという感が強い。

前野健太というフレームを使って切り取った、2011/5/27の夜の東京の光景。
節電ブーム時の東京の光景は、
オートフォーカスが露出を合わせた光が眩く感じるが、
間違いなく、それは灯りを落とした夜の闇が引き立たせるものなのだ。

昨年度の映画秘宝誌でのベスト10選出コメントでも感じたのだが、
松江哲明監督自体が、劇映画から決別して
ドキュメンタリストとしての個を確率していってるんだろうなという感が強い。
っていうか『遊びませんか?』って声かけられて、悪天候の中、
何時の映像使われるか分からんままに
10時間もライヴ時のテンションを維持し続けなければならなかった
前野健太にしてみりゃ『鬼か!?』って話だろうがwww

間違いなく、あの日、あの時、あの場所にしか無かった光景は、
この映画によって永久に保管される。

公式HP



トーキョードリフター
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映画備忘録[2012#03]『新鞍馬天狗 五條坂の決闘』

#02から間が空いたのだが連チャンで観たのだよ。だよ。
市川雷蔵特集。『大雷蔵祭』の中の1作。

『鞍馬天狗』と言えばアラカンこと嵐寛寿郎の代名詞だが、
雷蔵でも撮っているのです。2本だけですが。
そして本作にて映画の鞍馬天狗は打ち止めと相成ります。

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時は幕末、京の都。
新撰組が待ち構える朝靄の中を颯爽と白馬に跨り駆け抜ける鞍馬天狗。
近々上洛する将軍に大政奉還を進言するとの噂も。
天狗を捕らえることができず歯噛みする京都所司代に文が届けられる。
曰く『金三千両にて、天狗の暗殺請け負います。 山』

山、即ち山嶽党。どこの馬の骨とも知れぬ輩に三千両…
と訝しがるところに続けて矢文。
その矢文の予告通り、目の前で小屋が大爆発!!

鞍馬天狗が杉作少年と住む吉兵衛の店に帰って来て
倉田典膳として一息ついてると、怪しい女が傘を一本求めて去ってゆく。

吉兵衛に女の尾行を頼み、天狗は薩摩屋敷に向かう。
過去の記録を調べていくと、幕府が輸入した火薬・武器弾薬が
強奪される事件があったらしい。山嶽党の手持ちの武器はこれかと…
一方、女は廃屋に入ると傘を残して忽然と姿を消していた。

さて、天狗が店に戻ると、吉兵衛が縛り上げられ、火薬が仕掛けられている!
何とか火薬入り火鉢を遠ざけて一難は逃れたものの、杉作が人質に取られてしまう。
山嶽党の罠が待ち構えている中、太刀とピストルで切り抜け、
謎の絵図を手に入れるものの銃撃を受けて杉作が傷を負ってしまう。
折りよく通りかかった浪人と共に残党を斬り伏せ、
彼の紹介した医者の元で杉作を療養させる天狗だが、
何せ京都所司代からの賞金首。

確実に杉作の元に現れる独占情報を持って、
所司代より金をせびる浪人・大前田逸蔵だが、
目論見を倉田典膳こと鞍馬天狗に見抜かれ、氏素性がバレて、
危機を感じる大前田に易者の老人が声をかける。
曰く『死相を除くのであれば山嶽党に入れ』と…

傷も癒え吉兵衛の店に帰って来た杉作。
そこに以前も現れた謎の女が扇子を一つ買い去ってゆく。
天狗のおじさんはいない、吉兵衛も食事の支度で席を外している。
逃してはならぬと単身、後を追う杉作。
勇気を振り絞り辿り着いた先は山嶽党のアジトであった!!
牢に捕らえられた杉作だが、そこは身軽な元・角兵衛獅子。
スルリと抜け出し断崖の崖を伝って逃走を図るものの
見張りに気付かれる絶体絶命のピンチ!!
そこに現れる鞍馬天狗のおじさん!!

そう、あの絵図はアジトの見取り図だったのだ!!

やがて、所司代に将軍が上洛のため江戸を経ったとの報が入る。
最早一刻の猶予も、手段を選ぶ余裕もない!
斯くして鞍馬天狗と山嶽党との決闘の時が来た!!

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白馬に跨り、ピストルと太刀でバッサバッサと敵を打ち倒し、
日本の夜明けに奔走するスーパーヒーローものな訳ですが、
銀幕一杯を使ったド迫力の構図もさる事ながら、
黒頭巾から覗く雷蔵の二重が映える。
やっぱり、これを以てしてもイメージを払拭しきれなかった
アラカンの鞍馬天狗も観てみたいところだが、
・ 戦時中にフィルムから銀を取り出すために供出。
・ 戦後占領期にチャンバラ禁止され焼却処分。
・ 何よりフィルムは消えモンで、単純娯楽は安く見られてた。
などなど、中々銀幕ではお目にかかれない。

Amazon漁ってみるとアラカンの方のDVDは何本か散見されるが、
雷蔵の新鞍馬天狗はVHSのみなのですな…

まあ流石に大映映画の権利は角川が管理してるので、
そう簡単にジャンクにするとかそういうのはないと思うのだが。

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鞍馬天狗 角兵衛獅子 [DVD]
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鞍馬天狗のおじさんは (ちくま文庫)
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2・11 DDTプロレスリング名古屋大会

昨日は名古屋・金山アスナルホールにて
DDT/スターダムの昼夜興行が行われていた。
特にスターダムに心惹かれるものがなかったので、DDT終了後、
パブで酒を飲み、鶴舞のスポルティーバアリーナに移って
終電まで飲んでいたのだが、DDTのメインイベントは
Ko-D無差別級選手権王者・男色ディーノvs挑戦者・アントーニオ本多
前哨戦第2ラウンド、
メンフィス・ラストマンスタンディング・ルーザーリーブタウンマッチ
ギブアップ、3カウントなしの完全KO決着、敗者は即日名古屋追放という
非常にアメリカ南部な香りが漂う過酷な殴り合い。
両者の交わすパンチの行間に溢れる程の思いが滲み出るアツい試合だった。

かつて、彼らはある表現者を軸として
プロレスリングの表舞台・裏舞台やら演劇やら漫画やら
当事者たちの喜怒哀楽まで
ありとあらゆる表現を盛り込んだ祭りを行なっていた。
その祭りはキーパーソンが家業を継ぎ、家庭を作るという、
極めて現実的な事情で一応の終焉を迎えたのだが、
彼はその終焉を未来への約束とすることで、
祭りが過去の青春の残滓として置き去りにされてしまうことから救った。

祭りの中、嘘か真か目指した場所、『日本武道館』。
今年、DDTプロレスリングが8月に日本武道館大会を行うに辺り、
一人の男は過去の感傷としてではなく、
今、DDTプロレスリングとして目指すためにある男と戦うことを望み、
もう一人の男は、相手の男への憧れと羨望と嫉妬と友情を確かめ、
乗り越える為にその男との戦いを受けた。
その戦いを見届けるGMもその祭りの『総合演出家』として共に遊んだ仲間だった。
そして、かつての祭りを眺めていた俺も半ば一緒になって遊んでいた仲間だった。
これだけの文章量を以っても語り尽くせない程、二人の男たちは雄弁に殴り合った。

2・19後楽園ホールKo-D無差別級王座戦。
そこで、それが決着した所で見えてくる風景とはいかなるものか…

写真は元・マッスル総合演出家にして現・DDTプロレスリングGM 鶴見亜門氏と。


2012年02月11日(土) 【2・11リポート】ディーノが殴りあって前哨戦連勝
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