#02から間が空いたのだが連チャンで観たのだよ。だよ。
市川雷蔵特集。『大雷蔵祭』の中の1作。

『鞍馬天狗』と言えばアラカンこと嵐寛寿郎の代名詞だが、
雷蔵でも撮っているのです。2本だけですが。
そして本作にて映画の鞍馬天狗は打ち止めと相成ります。

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時は幕末、京の都。
新撰組が待ち構える朝靄の中を颯爽と白馬に跨り駆け抜ける鞍馬天狗。
近々上洛する将軍に大政奉還を進言するとの噂も。
天狗を捕らえることができず歯噛みする京都所司代に文が届けられる。
曰く『金三千両にて、天狗の暗殺請け負います。 山』

山、即ち山嶽党。どこの馬の骨とも知れぬ輩に三千両…
と訝しがるところに続けて矢文。
その矢文の予告通り、目の前で小屋が大爆発!!

鞍馬天狗が杉作少年と住む吉兵衛の店に帰って来て
倉田典膳として一息ついてると、怪しい女が傘を一本求めて去ってゆく。

吉兵衛に女の尾行を頼み、天狗は薩摩屋敷に向かう。
過去の記録を調べていくと、幕府が輸入した火薬・武器弾薬が
強奪される事件があったらしい。山嶽党の手持ちの武器はこれかと…
一方、女は廃屋に入ると傘を残して忽然と姿を消していた。

さて、天狗が店に戻ると、吉兵衛が縛り上げられ、火薬が仕掛けられている!
何とか火薬入り火鉢を遠ざけて一難は逃れたものの、杉作が人質に取られてしまう。
山嶽党の罠が待ち構えている中、太刀とピストルで切り抜け、
謎の絵図を手に入れるものの銃撃を受けて杉作が傷を負ってしまう。
折りよく通りかかった浪人と共に残党を斬り伏せ、
彼の紹介した医者の元で杉作を療養させる天狗だが、
何せ京都所司代からの賞金首。

確実に杉作の元に現れる独占情報を持って、
所司代より金をせびる浪人・大前田逸蔵だが、
目論見を倉田典膳こと鞍馬天狗に見抜かれ、氏素性がバレて、
危機を感じる大前田に易者の老人が声をかける。
曰く『死相を除くのであれば山嶽党に入れ』と…

傷も癒え吉兵衛の店に帰って来た杉作。
そこに以前も現れた謎の女が扇子を一つ買い去ってゆく。
天狗のおじさんはいない、吉兵衛も食事の支度で席を外している。
逃してはならぬと単身、後を追う杉作。
勇気を振り絞り辿り着いた先は山嶽党のアジトであった!!
牢に捕らえられた杉作だが、そこは身軽な元・角兵衛獅子。
スルリと抜け出し断崖の崖を伝って逃走を図るものの
見張りに気付かれる絶体絶命のピンチ!!
そこに現れる鞍馬天狗のおじさん!!

そう、あの絵図はアジトの見取り図だったのだ!!

やがて、所司代に将軍が上洛のため江戸を経ったとの報が入る。
最早一刻の猶予も、手段を選ぶ余裕もない!
斯くして鞍馬天狗と山嶽党との決闘の時が来た!!

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白馬に跨り、ピストルと太刀でバッサバッサと敵を打ち倒し、
日本の夜明けに奔走するスーパーヒーローものな訳ですが、
銀幕一杯を使ったド迫力の構図もさる事ながら、
黒頭巾から覗く雷蔵の二重が映える。
やっぱり、これを以てしてもイメージを払拭しきれなかった
アラカンの鞍馬天狗も観てみたいところだが、
・ 戦時中にフィルムから銀を取り出すために供出。
・ 戦後占領期にチャンバラ禁止され焼却処分。
・ 何よりフィルムは消えモンで、単純娯楽は安く見られてた。
などなど、中々銀幕ではお目にかかれない。

Amazon漁ってみるとアラカンの方のDVDは何本か散見されるが、
雷蔵の新鞍馬天狗はVHSのみなのですな…

まあ流石に大映映画の権利は角川が管理してるので、
そう簡単にジャンクにするとかそういうのはないと思うのだが。

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鞍馬天狗 角兵衛獅子 [DVD]
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鞍馬天狗のおじさんは (ちくま文庫)
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